民陶(民藝陶器)

江戸時代当時の藩御用達である「官窯」に対して、民衆が主体となって雑器などを生産した窯を「民窯」と呼びます。
そうした「民窯」で作られた陶磁器を「民陶(民藝陶器)」と呼んでいますが、これら民陶には、官窯の焼き物のような
「華麗」や「繊細」「豪華」などといった特徴とは対極にある、素朴で質実剛健、健康的な美しさを見出す事が出来ます。

なお、これらの民陶は、決して骨董などではなく、また、高価な美術工芸品などでもありません。
あくまでも今現在、各地方の窯元さんが製作をされておいでの、れっきとした日常の生活のための器です。

窯名と器の種類 画像 産地 大きさ(直径×高さ/p) 私的コメント
楢岡(ならおか)焼
片口
秋田県
仙北郡
南外村
 14×7 吸いこまれるような青色のぼったりとした独特のなまこ釉と
下地に使われている柿釉の対比が非常に見事です。
会津本郷焼
湯呑み
福島県
大沼郡
本郷
 9×5.5 青白いなまこ釉を通して器胎の色が透けて見える様、
そして器の中心に向かって、そのなまこ釉が溶け落ちていく様は、
この世の焼き物とは思えぬ、筆舌に尽くしがたいほどの美しさです。
…とはいえ、この画像で限界です(;TДT)
江津(ごうつ)焼
片口
島根県
江津市
 8.5×5 小品ながらも、江津特有の緑釉が美しい一品です。
この画像では、その美しさを伝え切れないのが残念!
江津焼 蓋付き壷 同上  12.5×15.5  それほど大きいものではありませんが、緑釉の流し掛けの調子と
あいまって、どっしりとした雰囲気を漂わせています。
小鹿田(おんた)焼
うるか壷(一合)
大分県
日田市
源栄町 
 8×9.7 黄釉を掛けた上から「飛び鉋(とびかんな)」を施しています。
元来は、この地方特産の「うるか」を容れておくための容器でした。
*「うるか」:鮎の内臓を水洗いして塩漬けにした珍味。
小鹿田焼
蓋壷(二合)
同上  9×12 黒地に緑と白の流し釉が美しく、流し掛けの調子もリズミカルです。
小鹿田焼
飛び鉋六寸皿
同上  21×.3 小鹿田焼の代表的技法である「飛び鉋」を使った代表的な器です。
なお、自分が初めて購入した民陶でもあります。
*「飛び鉋」:
生乾きの素地をロクロに乗せ、回転させた状態で薄い鋼板を
当てることによって、反動で細かい彫り模様を付ける技法。
龍門司(りゅうもんじ)焼
からから
鹿児島県
姶良郡
加治木町
 9.2×3.3 「からから」は、胴部に注ぎ口のついた徳利で、沖縄や鹿児島を
中心とした南国の窯場に多く分布する酒器です。
なお、自分は下戸なので、本来の用途では使用せずに
料理の時や絵を描く時の差し水をするために使用しています。(笑)
壷屋(つぼや)焼
マカイ
沖縄県
読谷村
 12×6 沖縄では、飯碗の事を「マカイ」と呼びます。
ただ飯碗として使用するだけではなく、汁や副食などを盛ったり
するのにも使用するため、本土の飯碗に比べて大ぶりな作りです。
…まぁ、この器は通常の飯碗サイズですが(^^;
読谷山焼
抱瓶(だちびん)
沖縄県
読谷村
 13×10.3
(長径×高さ)
沖縄のみに見られる独特の酒器に「抱瓶」があります。
そもそもは、行楽の時のための携帯用の酒器として作られ
半月形の形が、腰に下げた時にフィットするようになっています。
なお、今現在では花瓶や一輪差しとして転用され、胴の部分には
さまざまな装飾が施されている物もありますが、自分はこの抱瓶の
素朴な格子模様には、捨てがたい魅力を感じます。

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