古民藝のページ

今現在、自分は全国の民藝品を扱っている会社で勤務していますが
商品である民藝品の良し悪しを見極める目を養うためには、そういった民藝品の中でも
古い物、すなわち「古民藝」と呼ばれるものに、折に触れていくことが必要だと思い立ちました。

製作に対して多用な手段の存在する現代とは違い、少なくとも古い物に関しては
「その時代において、限られた技法や材料しか使えなかった」
が為に、必然的に ごまかしの無いモノが作られたわけであり
ごまかしが無いからこそ、それが良い物と言えるのではなかろうか…と思っています。

そして、それら古民藝をただ見るだけではなく、実際に身近に置いて愛でたいと思い購入したものを
このページで紹介していきたいと思います。

(画像をクリックすると拡大画像が見られます。)

焼物

切込焼(宮城県)
そば猪口(山水紋)
7cm(直径)
×
5.5cm(高さ)
安物の呉須で、ささっと簡略に描かれた山水図のそば猪口です。
安物ゆえ発色はイマイチですが、逆にそれが素朴な雰囲気を
出すのに一役買っているような気がします。

余談ですが、画像中央より右側のふたつの物体が
自分には、まるで、丘の向こうから突如にょきっと生えてきた
高層ビルのシルエットのように見えて仕方がありません。(笑)
…というか、そういう風に見えるのが面白くて買ったワケだったりしますが(^^;

なお、当初は伊万里ではないかと思っていたのですが、後日
見込部分の窯印の形態から切込焼である事がわかりました。

堤焼(宮城県)
半胴甕

31cm(直径)
×
28cm(高さ)
流し掛けのなまこ釉の美しさと、内部に輪積みの成形の跡を
そのまま残した豪快さに惹かれて購入しました。

本来なら睡蓮鉢変わりにでも使ってみたいところですが
器の各所にヒビが入ってしまっているので、多分無理かも…。

筒描布(鶴紋) 68cm(縦
×

63cm(横)
購入した骨董店で未裁断のものを確認しましたが、
元来は、もっと大きい幕であったものから切り取られた物です。

筒描の中でも、どちらかというと下手物になるかもしれませんが
染め抜かれた鶴の、のほほんとした顔付きに癒されます(笑)

筒描(つつがき):竹筒などの中から防染糊を出して模様を描き
    布を染め上げると、糊を置いた部分のみが白く抜ける技法。

紅型裂(藍型)
木綿:松梅に鳥文
    17cm(縦)
×
15cm(横)
紅型というと、いかにも南国といった雰囲気の鮮やかなものを
連想しますが、このように藍色で型染めをしたような「藍型」という
地味な色合いの物も作られました。

型染め:型紙を使い、白抜きにしたい部分に防染糊を置いた
     上で布を染め上げる技法。原理自体は筒描と同じ。

弓ヶ浜絣(鳥取県)
33cm(縦)
×
55cm(横)
某民藝店で端布の状態で安く出ていたのを購入しました。

今現在も、嶋田悦子さんにより昔ながらの手法で織られている
弓ヶ浜絣ですが、自分の場合は絵絣や縞模様の物ばかりしか
見た事が無かったので、こういった普通の絣は逆に新鮮でした。

道具

マキリ 33cm(全長)
×
5.5cm(鞘幅)

刃渡り17cm

北海道の先住民族であるアイヌの人たちが
日常の色々な場面で使用していた小刀をマキリと呼びます。
(ちなみに、女性用のマキリは「メノコマキリ」と呼びます)。
柄の部分と鞘の一部に、うろこ状の彫刻などを施し
鞘は桜の皮を切れ込みにして使い、堅固に綴じられています。

なお、反対側鞘から抜いた状態の画像は←こちらです。

家具

箪笥
80.5cm(高さ)
×
37cm(幅)
×
40cm(奥行き)
明治から大正の頃にかけて作られたと思われる箪笥で、材質は桐です。
ただ、金具はかなり薄めの作りなのと、補修個所も多いのですが値段が手頃だったので
思い切って購入してしまいました。(笑)


中段のあたりの作りは、まるで船箪笥のような雰囲気ですが
縦長の形状では安定性に欠けますので、少なくともそれは無いと思われます。

また、縦長ですので押入の中に入れるタイプの用箪笥というわけでもなさそうです。
恐らくは、商家の帳場などで使われた物でしょうか。

なお、中段部分の扉を開けると、中には更に3つの引出しがあります。
(扉を開けた状態の画像はこちら

「現代の民藝」のページに行く

HPのトップに戻る